トノムラ初期配置の謎
AAブリッジの人員配置
アークエンジェルのブリッジクルーは、そのほとんどが急場凌ぎの配置である。
……というのは明白だけれど、では本来どのような人員配置で運用されるはずだったのだろう。
元々のポジションが判明しているキャラはいる。わかりやすいのはマリューで、彼女は本来副長である。これは放映当時から公式書籍やムック等にはっきり書かれている。資料毎で情報のブレもない。
ナタルとノイマンは詳しいポジションはわからないものの、PHASE-02でAAを発進させた際にシステムに詳しそうであったことから、元よりブリッジ要員だったのは間違いないだろう。
因みに、元からブリッジ要員だったと思われるマリュー、ナタル、ノイマン、トノムラの中で、ナタルとノイマンはどの書籍やムックにおいても「本来○○だった」という記述がない。恐らくサンライズ側から渡された資料にそういう記述がなかったのだろう。……ということは、逆に言えば、この二人については最初からあのポジションだったと考えることもできなくはない(暴論では?)
なお、チャンドラとパルは、PHASE-02でナタルから「コンピューターの指示通りにやればいい」と指示を受けていることから、ブリッジ要員ではなかったことが推察される。本来業務は不明。
……で、問題のトノムラである。
wikiの記述の謎
この男――ジャッキー・トノムラ――ナタルとノイマンと行動を共にしていたことからも、元々ブリッジ要員であることは想像に難くない。
その上で、ネット上では「本来は副操舵士」というのが定説となっている。
サクッと検索できる限りのwiki系記事の記述が以下の通り。
Wikipedia「機動戦士ガンダムSEEDの登場人物」
当初は副操舵士として配属されていた
スーパーロボット大戦Wiki「ジャッキー・トノムラ」
生き残ったアークエンジェル正規クルーの1人であり、副操舵士として配属されていた
ピクシブ百科事典「ジャッキー・トノムラ」
生き残ったアークエンジェルの正規クルーの1人で、副操舵士として配属されていた
ANIMANGA WIKI「ジャッキー・トノムラ」
初めはコパイロット(副操舵士)として配属された
これらの記事を見て、「あ、トノムラって本来は副操舵士だったんだ」と思った人も多かろう。というか、私もそう思っていた。実際トノムラはPHASE
ところがどっこい、である。
公式書籍の記述
HDリマスターBDのブックレットの記述が、こうだ。
モビルスーツなど、艦載機の発着管制が本来の任務
アレェ!?
そう、この男――ジャッキー・トノムラ――なんと本来は管制官というのが公式設定なのである。つまりミリィのポジション。「ストライク発進、どうぞ!」のアレである(ぜひ渋谷ボイスで脳内再生してほしい)。
wiki情報は信用しちゃだめだよ、というごく当たり前の教訓をもってこの記事を切り上げてもいいが、せっかくなので手元にある書籍の記述を確認してみよう。
公式ガイドブック -運命の再会- | 「管制官を務める」 |
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ロマンアルバム [ストライク編] | 「本来は、管制担当」 |
オフィシャルファイル キャラ編Vol.1 | 「本来は管制官」 |
オフィシャルファイル キャラ編Vol.2 | 「本来は管制の担当」 |
オフィシャルファイル キャラ編Vol.3 | 「本来の配置である艦のコ・パイロット(副操縦士)」 |
HDリマスター コンプリートBD-BOX ARCHIVE BOOK | 「艦載機の発着管制が本来の任務」 |
※『公式ガイドブック2-大地の戦士-』『公式ガイドブック3-明日への翼-』『ロマンアルバム[フリーダム編]』『オフィシャルファイル キャラ編Vol.4』は言及無し。
上記の通り、概ね「管制」である。
注目したいのは『オフィシャルファイル キャラ編Vol.3』で、私が所有する書籍・ムックの中では唯一トノムラの本来のポジションを「副操縦士」としていた。しかしVol.1、2では「管制」なので、同シリーズ内で既に矛盾してしまっている。オイオイ。
これは推測だが、恐らく『キャラ編vol.3』の言う「本来の配置である艦のコ・パイロット(副操縦士)」というのは、PHASE
因みに、トノムラがアニメ本編中に管制を担当したことはない。SEEDに限れば、AAで管制を担当したことがあるのはPHASE-03後半~04冒頭のナタルと、PHASE-04後半以降のミリィのみ。
おまけ
ネット記事の記述が軒並み「副操舵士」となっていたのは、孫引き&孫引きのせいだと思われる(どの記事が出発点なのかは知らんが)。
そのせいかは分からないが、上述したスパロボwikiの説明などは混乱を極めており、
アークエンジェルの管制官。ザフトによるG兵器強奪作戦の際に生き残ったアークエンジェル正規クルーの1人であり、副操舵士として配属されていたが、減少したクルーの穴を埋めるためにCICでの索敵担当を務めることになった。
……と、もはや何が何だかといった様相である。実際のところトノムラがこれら全部できてしまうのがまた笑いを誘う。マルチな奴め。