『ぬいぐるみののいまんくん』
2025年6月1日に発行した同人誌『ぬいぐるみののいまんくん』の本文を翻訳用に抜き出して掲載しております。
翻訳のしやすさを考慮し、表現を変えたり、記号を追加・削除するなど手を加えていますが、内容に変更はありません。
p.3
これは、ぬいぐるみのノイマンくんです。
バジルール中尉といつも一緒にいます。
p.4-5
ノイマンくんは、アークエンジェルでバジルール中尉の部下だったアーノルド・ノイマン少尉によく似ています。
だからバジルール中尉が「ノイマン」と名前をつけてくれました。
ノイマンくんはいつのまにかバジルール中尉のかばんの中にいました。
バジルール中尉は軍人です。
軍のお仕事をしているときに、ぬいぐるみなんて要りません。
こんなものをかばんに入れたはずはないのです。
いったいいつ、まぎれこんでしまったのでしょう?
でもね……
p.6-7
このときバジルール中尉はアークエンジェルが沈んでしまったと思っていたのです。
アークエンジェルにはバジルール中尉の仲間が乗っていました。
そのなかにはノイマン少尉もいます。
「みんなはどうなってしまったのだろう」
心配で仕方がなかったバジルール中尉は、ノイマンくんにちょっぴり慰められたのでした。
それからしばらくして、アークエンジェルがオーブにいることがわかりました。
「よかった、みんな生きていたんだ」
どうやら軍からは離れてしまったようですが、バジルール中尉はホッと一安心。
バジルール中尉の優しい顔に、ノイマンくんも嬉しくなりました。
p.8-9
さて、バジルール中尉は少佐になって、ドミニオンという艦の艦長を任されました。
ドミニオンはアークエンジェルの姉妹艦です。
なかのつくりもほとんど一緒。
バジルール少佐は、よく知っているようで、全く知らない艦長室で、不思議な気持ちです。
「これからは艦長としてここにいるんだ。みんなを引っ張ってがんばらねば」
p.10-11
ある日のことです。
バジルール少佐が部下のクルーと一生懸命訓練をしていると、とつぜん偉い人がドミニオンにやってきました。
「こちらは、ムルタ・アズラエル氏だ」
「はぁ……」
「よろしく、艦長さん」
ムルタ・アズラエルといえば、コーディネイターのことが大きらいなブルーコスモスの盟主です。
「艦長さんがこんなに若くて美人なかたとは、粋なはからいってやつですか」
なんだか、イヤなかんじ。
(バジルール少佐を困らせやがって)
ノイマンくんはたっぷり怨念を送ります。
でも、ノイマンくんはただのぬいぐるみなので、意味はありません。
アズラエルは話を続けます。
p.12-13
「期待しますよ。僕らこれから、そのアークエンジェルを討ちに行くんですから」
「えっ……」
p.14-15
さあ大変です、ドミニオンはアークエンジェルを倒しに行くことになってしまいました。
あれだけアークエンジェルのことを心配していたバジルール少佐です。
平気なはずがないのです。
ノイマンくんは心配で仕方がありません。
(大丈夫かな)
とうとうアークエンジェルのいるところまで来てしまいました。
p.16-17
アークエンジェルを目の前にして、バジルール少佐は通信を入れました。
「お久しぶりです、ラミアス艦長」
「ナタル……!」
「バジルール中尉……」
バジルール少佐は「軍に戻ってほしい」と一生懸命説得しますが、アークエンジェルのラミアス艦長の気持ちは変わりません。
「私たちは地球軍そのものに対して疑念があるのよ。降伏、復隊はありません」
ドミニオンとアークエンジェルは戦うことになってしまいました。
※なんだあれ……
p.18-19
バジルール少佐はとても優秀な軍人です。
みるみるうちにアークエンジェルを追い詰めてしまいました。
ところが、途中でザフト軍が入ってきたり、救助ポッドが現れたりして、てんやわんやです。
結局、アークエンジェルは仲間とどこかへ逃げてしまい、そしてドミニオンは、救助ポッドにいたフレイを助けることができました。
フレイは、前はアークエンジェルにいました。
バジルール少佐もめんどうをよくみてあげていたのです。
「バジルール中尉!」
フレイはバジルール少佐を見て泣き出してしまいました。
きっと、心細かったのでしょう。
p.20-21
さてそれからも、色々なことがありました。
嫌なこともたくさんありました。
バジルール少佐は軍人です。
軍の命令は絶対です。
でも、全部が平気なはずはないのです。
(バジルール少佐がつらいこと、自分は分かってますからね)
何もできないノイマンくんですが、それでもずっと、バジルール少佐のそばにいました。
p.22-23
戦争はひどくなるばかり。
味方の連合軍も、もうめちゃくちゃです。
それなのに、アズラエルは嫌なことばかり命令してきます。
そんなドミニオンに、アークエンジェルが立ちはだかりました。
ドミニオンもアークエンジェルも、もうボロボロです。
「いまだ! 撃て!」
アズラエルはまだあきらめません。
フレイはとうとう、我慢できなくなってしまいました。
「ダメ! もうやめて! アークエンジェル、逃げて!」
「おまえェ!!」
アズラエルがフレイを突き飛ばします。
p.24-25
それまで命令に従っていたバジルール少佐も、もう我慢できません。
銃を振り回すアズラエルを取り押さえます。
「総員、退艦しろ!」
バジルール少佐の命令を聞いたクルーは、みんな出口へ向かいます。
「いそげ、アークエンジェルへ行け!」
ハッとして、フレイも出口へ向かいました。
「あっ、待て、こいつも一緒に……」
バジルール少佐はノイマンくんをフレイに渡そうとします。
でもバジルール少佐が心配なノイマンくんは、必死でしがみつきました。
「くそっ、なんだこいつ……離れろ……!」
(ぜったい離れるものか……!)
とうとうフレイたちは行ってしまいました。
p.26-27
取り残されたアズラエルはバジルール少佐を銃で撃ち、必死で逃げようとします。
しかし、バジルール少佐が閉じ込めてしまいました。
「あなたはここで死すべき人だ……私と共に……!」
バジルール少佐はアズラエルを道連れにするつもりです。
しかし、あきらめの悪いアズラエルは、アークエンジェルにローエングリンを向けました。
「アズラエル、何を……!」
「僕は勝つんだ……そうさ、いつだって……!」
アークエンジェルに向かって撃たれるローエングリン!
どうなってしまったのでしょうか――
p.28-29
白い光が消えたあと、そこにはアークエンジェルがありました。
「あなたの負けです」
「おまえェ!!」
癇癪を起こしたアズラエルはバジルール少佐を銃で撃ち始めます。
そのうしろでは、アークエンジェルのローエングリン砲がこちらを向いていました。
「撃てーっ! マリュー・ラミアス――!!!」
アークエンジェルからローエングリンが放たれました――
p.30-31
「ありがとう」